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コラム連載・コラム

イスラム・ハラル市場と日本の水産物の可能性

第8回 ハラル化の第一歩(ノーアニマル・ノーアルコール)

「ハラル化の第一歩」と書きましたが、それほど遠い道のりではないかもしれませんのでご安心ください(難易度は何をどのような環境で製造しているかによりますので)。
今回のコラムをお読みいただくためには、ハラルの定義を理解していただく必要があります。考え方としてはハラル認証を取得できる条件を一通り知っておかないと、その条件の中のどれをクリアしておけば大丈夫か、どれをクリアしなくても販売があり得るのか混乱するからです。
ハラルの定義についてはセミナー報告をご覧ください。今回のコラムで考えたいのは、ムスリム(イスラム教徒)に食べてもらえる商品をどのようにつくるかという視点です。
すでにお分かりのようにハラル=ハラル認証ではありません。ハラル認証は専門的な知識に基づいたハラル性の保証ですが、国家制度としてハラル認証を管理している国はマレーシアやブルネイといったほんの一部で、世界中のムスリム消費者のひとりひとりは各自の信仰心にもとづいて判断をしています。認証は必須ではなく消費者が参考にするもので、絶対ではありません(必須にしようとする動きもありますが)。

では消費者は何を求めているのでしょうか。まずは豚と豚由来成分が入っていないことはほぼ全員のムスリムが求めることでしょう。次にハラルな方法でと畜されなかった動物の成分が入っていないことを求める人もかなりの割合です。しかし工場の同じ製造ラインでハラルでない肉を使った商品も製造していても(この状況ではハラル認証は取得できません)、実際にその商品にはハラルでない肉の成分が含まれていない場合は問題ないと感じる人も出てきます。そこで、豚の成分が含まれない商品、動物性の成分が含まれないという特定の条件だけ満たした商品でも購入する人が現れるのです。

ノーアニマルの表示(石巻のサバだしラーメン)ノーアニマルの表示(石巻のサバだしラーメン)

ノーアニマルの表示(石巻のサバだしラーメン)

製造者としては、どれだけ買ってもらえるかわからないムスリムのために巨額の投資をする事は難しいと考えるのが道理です。しかし、ムスリムが最も避けたい豚と豚由来の成分を全て排除する程度ならできるとしたら、自社内の環境で無理な投資を避けてムスリム市場に参入できるかもしれません。
この表現は日本独自のルールではありません。特に飲食店では海外でも使われています。シンガポールの大学の学生食堂でも使われていますし、店頭に「ノーポーク」とだけ書いた張り紙がしてある店舗もあります。インドネシア・ジャカルタの高級デパート「グランド・インドネシア」内にある日系のラーメン店では”No Pork Outlet”と入口に表記がされていました。日本でも横浜のラーメン博物館では食券販売機などに記載があります。

食券販売機でのノーポークのアイコン(横浜のラーメン博物館)

食券販売機でのノーポークのアイコン(横浜のラーメン博物館)

ノーポークやノーアニマルはハラル認証という第三者による保証がない自己申告の形ですので、信頼関係の構築も重要です。ハラルの定義を理解したうえで、成分表示などはわかりやすく積極的に提供し、お客様であるムスリムの反応を確かめながら取り組んでいただければと思います。

ハラル・ジャパン協会  調査担当 中川 圭吾 ハラル・ジャパン協会、調査担当マネージャー。
ハラルニュース解説サイトHalal Todayの責任者として常に全世界のハラル情報を集約し、情報配信を行う。全国の企業・自治体向けのハラルセミナー・研修講師としても活動中。

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