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第27回青森県五戸水産株式会社

八戸の「箱入り娘」が紡ぐ家族の物語

「うちの娘ば、ここに入れろ。ほら見ろ、こんなに震えてるだろ」

周りにいるのは威勢のいい男性ばかり。八戸魚市場のイカのセリ会場で唯一の女性参加者だった彼女が萎縮していると、父親がそう言って場所を空けさせたといいます。

男性が多い水産の世界を渡り歩いてきた五戸睦子さん

▲ 男性が多い水産の世界を渡り歩いてきた五戸睦子さん

「30歳そこそこで初めてせりに参加した私から見れば、50歳を超える人はみんな大御所。そんな人たちに囲まれる中で大声を張り上げないといけないセリが、最初はとても苦手でした。私が買い値を叫んでも競り人まで声が届かないので、父は私のために競り人に一番近い場所を確保してくれました。おかげで私でもどうにか競り落とせていたんです」(五戸睦子さん、以下「」内同)

セリに出始めた頃をそう振り返る五戸水産(青森県八戸市)社長の五戸睦子さん。
父・猛雄さんに頼ってばかりはいられないと、工場から魚市場に向かう車内では発声練習が欠かせませんでした。

「片道5分程度の道のりですが、セリでも大きな声を出せるように『アーイ! ろっぴゃく~!』とハンドルを握りながら甲高い声を上げていました(笑)」

小柄でも紅一点で目立つ存在だった睦子さんには、周囲からある呼び名が付けられていました。その名も「箱入り娘」。当時の魚市場では、停泊する船のすぐそばに魚の入った木箱が並べられており、魚を競り落とした業者はその木箱の上に自社の目印となる札を置いていきました。しかし睦子さんは自分の身長よりも高い木箱の上に手が届かないため、空の箱を足場にしていました。その姿を見た人から「おまえは箱入り娘だな」と言われたのだそうです。

しかし実際の彼女の半生記は、本来の意味の「箱入り娘」とは全く異なるものでした。

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