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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

大量生産の時代に「品質勝負」で生き残った

2017年は水野水産にとって、創業80周年の節目の年。創業したのは水野さんの祖父・水野大助さんです。

「祖父がこの会社を始めた頃は、かつおぶし、蒲鉾、ちくわ、冷凍魚など、季節によっていろいろなことをやっていました。昔は塩釜で作ったちくわを貨車で築地まで運んで、塩漬けにしたものが戦地にも送られていたようです」

ところが30年ほど前のことです。大量消費の時代になると、地方にもスーパーマーケットが増え、水産加工業者には「量」が求められました。しかしそれに対応できるのは大手企業だけ。大量生産ができない中小の蒲鉾屋はたちまち苦境に立たされ、塩釜でも店を畳む店が増えたのだそうです。

「私が二十歳の頃、塩釜に100軒余りあった蒲鉾屋も、今残っているのは20軒ちょっと。そのくらい状況が大きく様変わりしました。実は当社も苦しい時期があって、『もうやめようか』という話になりましたが、何もしないまま会社をやめるのは悔しい。そこで『どうしてうちの蒲鉾は売れないんだ?』という話をしていると、その場にいた女性のパート従業員がこう言ったんです。『あの原料で売れるものが作れるわけないでしょう』と。その言葉に触発されて、どうせやめるんなら最後にとことんいい材料を使っていいものを作ってやろうということになりました」

その日から最高の材料を使った新製品の開発が始まりました。3カ月ほど経ってそれらが店に並ぶようになると、水野水産の売り上げはみるみる上がっていったといいます。

「私たちが何とか生き残ることができたのは、大量生産の時代に、あえて品質で勝負したからだと思います。その後も今に至るまで、品質重視の姿勢は変わっていません」

最高品質への追求は原料調達から始まります。水野水産では、揚げ蒲鉾の原料となるスケトウダラのすり身を、アラスカ沖で操業するアメリカの2隻の加工母船から仕入れています。すり身加工の設備を整えた加工母船内では、捕れたその場でスケトウダラを加工し、冷凍保存することができます。港まで運んで陸上の工場で加工するよりも、新鮮な状態ですり身を作れるというわけです。

揚げ蒲鉾に使用する野菜にもこだわっているようです。タマネギ、ゴボウ、ニンジンなどの野菜は時期によって産地を変えて、年間を通しておいしい野菜を調達できるようにしています。

▲ 新鮮な油を使っているので油の透明度も高い

▲ 新鮮な油を使っているので油の透明度も高い

「調理に使う揚げ油も、オレイン酸の豊富な菜種油を使うことにしました。すると売り上げがさらに伸びました。当社の揚げ蒲鉾はさっぱりとしていて、油っぽくないのが特徴の一つです。味のインパクトはあるけど、それがいつまでも残らずにすっと消える。その秘密はこの油の鮮度にあります。いつでも新鮮な油で揚げられるよう、フライヤーの油を毎日入れ替えているのです。使い終わった油はただ捨てるのではなく、バイオディーゼル燃料として再生し、塩釜の連絡船やバスの燃料に使ってもらっています」

食品にもまだ使える品質の油を再生エネルギーに回していることから、「水野はきれいな油を捨てている」と言われることもあるのだとか。最高の揚げ蒲鉾を作るためにはそこまでする必要があるのでしょう。

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