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セミナーレポート

「欧州等諸外国の水産加工業や漁船事情」について

平成29年1月24日、八戸市の八戸パークホテルで、平成28年6月に開催した「東北復興水産加工品展示商談会」終了後のフォローアップセミナーが開催されました。
その模様を紹介いたします。

講師:一般社団法人日本舶用工業会
業務部担当部長 主任研究員
江頭 博之 氏

欧州の水産業界の漁業環境・概況

  • ・水産資源保護のため漁獲割り当て量が減少傾向にあるが、養殖業が推進されている。
  • ・漁船の近代化、効率化、環境性向上及び乗組員の安全と居住性向上のため、電気推進船等付加価値の高い新造漁船需要が近年増加している。
  • ・欧州の漁場では、ひとつの魚種が固まって生息しているので、魚種の選別が不要で効率的な漁ができる。
  • ・欧州の漁業政策:毎年漁獲可能総量(TAC)を制定し、各国毎の漁獲割当量を割り当て、魚の種類、大きさ、漁獲方法、漁場なども詳細に規定しており、各国が守っている。

1.EU全体

  • ・EU全体の漁獲量は、ピークの1995年と比較して、2013年には37.1%低下している。
    *デンマーク、スペイン、英国、フランスで半分以上低下している。
    *フィンランド、ポーランド、スペインでは増加している。
  • ・EUでは養殖生産量は安定しており、ギリシャや英国が生産量を増加している。また、少量生産のマルタが6倍以上、ブルガリアが3倍以上に増加している。

2.ノルウェー

  • ・養殖生産量はEU全体を上回っており、過去10年で2倍以上に増加している。
  • ・ノルウェーは世界最大のアトランティック・サーモンの生産国で、国内160箇所で生産している。主要顧客はEU、ロシア、日本となっている。
  • ・近年は、低環境・高効率な漁船への代替が進んでおり、環境性の高い漁業を目指し、漁業機器、燃料、漁法の効率改善を促進している。

3.アイスランド

  • ・人口30万人の漁業有数国であり、国土の7倍にあたる76k㎡の排他的漁業水域を保有している。
  • ・水産業は観光業に次ぐ基幹産業である。
  • ・漁獲量割当て制度により、漁船漁業の集約が進んでいる。
  • ・近年最新鋭の新造船を発注する船主が増え、漁船数も増加傾向にある。
  • ・限られた水産資源から最大限の価値を創出するため、アイスランド漁船船主協会と水産加工業者協会が合併し新団体を発足。アイスランドの漁業は競争力のある産業で、多様な教育や経験を持つプロフェッショナルへの需要は高い。

欧州等の水産業界の傾向と今後の方向性

  • ◎欧州大型漁業の形態は、省人化・効率化が徹底され、魚価が高値で安定するシステムが確立している。
  • ◎欧州では、オーナーの殆どが水産加工会社で一定の事業規模を有しており、生産から加工・販売までひとつの会社で行える。
  • ◎海外でも、近年は、鮮魚の需要が高まっており、それに対応するため、船上での下処理・保存の機能が進んでいる。また、水産加工会社が船主のため、鮮魚でも加工でも鮮度の良い状態で対応できる。
  • ◎近年の新造漁船の傾向としては、乗組員の確保のためにも、安全性と居住環境の改善、また、燃費の改善、漁獲と処理保存の効率化等に力を入れている。
  • ◎日本と欧州では、漁場環境や水産業界の在り方等に違いがあるものの、近年の環境変化、漁獲量の低下等を勘案し、地域の特性を活かし、裾野の広い業界全体が協力しサプライチェーンを整えて活用していくことが重要となってくるだろう。


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