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セミナーレポート「東北復興水産加工品展示商談会2019事前セミナー(宮古)」

令和元年5月28日、宮古商工会議所において、「商談会における事前準備・心構え等」および、「展示会・商談会に出展する際のカン・コツ・ツボ」のセミナーが行われましので、その概要についてご紹介いたします。

セミナーレポート①「商談会における事前準備・心構え等」

仙台商工会議所
震災復興販路回復・拡大支援事業コーディネータ
宮本 優

バイヤー企業にマッチした商品を厳選して提案

商談のポイントとしては、マッチングを希望するバイヤー企業の取扱商品を確認したら、皆さんは自社のどの商品をその企業に提案するのかを決めてください。
個別商談会は25分です。自社商品の中から3アイテム程度に絞り込みをし、さらにその中で優先順位をつけて商談されると、時間的には良い提案ができるのではないかと思います。また、百貨店勤務の経験から申しますと、例えば「仙台で取引をするのは御社だけです」とバイヤーさんに伝えることは大変有効です。一都市一企業に決めることで、売る側の大きなPRになるため、成約率が上がるということがあると思います。

パッケージや量目の再検討を

昨年の「水産展示商談会」に寄せられたバイヤーからのコメントに、「パッケージデザインに非常に問題がある」というものが目立ちました。さまざまな添加物を使っているということで商談不成立になった例もあったようです。

また、商品の「量目の変更」についてですが、宮古市の1世帯の人数は単純計算で算出すると2.51人です。これが仙台市になると2.11人、東京都は1.92人しかいません。ひとり暮らしの人も非常に多いです。ですから東京や仙台では量目が少ないもの、弁当、惣菜が非常に売れています。「量目をこまめに変えられるのかどうか」を検討しておくことも重要なポイントです。

セミナーレポート②「展示会・商談会に出展する際のカン・コツ・ツボ」

公共財団法人日本水産資源保護協会
販路回復アドバイザー
高原 英幸

「笑顔」が商品のクオリティを上げる ! ?

今度の展示会で、必ずやっていただきたいことが2つあります。
まず、名刺交換です。先手必勝という言葉通り、自分たちが売り込みたいのですから、バイヤーより先に名乗ってください。名刺は「人格」です。名刺をいただいたら少し上に上げましょう。そのときに名前と顔を念写するように「1枚の絵」としてすり込む。これがお名前と顔を覚えるコツです。

もう一つは「笑顔になること」です。「あなたが笑えば世界が笑う」という、脳研究成果について書かれた文章を引用します。

「悲しいことや辛いことで気持ちが落ち込むと笑顔になれない。」

これはごく当たり前の話ですよね。人にとって感情とは原因で、表情は結果のようなもの。楽しいことが起きたときには笑顔になり、理不尽な出来事に襲われたときには悲しみや怒りが表情に現れます。しかし、この当たり前のような話に、新たな可能性があるかもしれないということが最新の研究によって判明しました。

どうやら人は笑顔のときとそうでないときで、感情の処理の仕方が変化しているそうで、笑うことが人の心の状態を向上させるらしいのです。(ソース:笑顔が世界の見方を変える(NYMag))

笑うことが人の心の状態を向上させること、そして「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」ということが、脳の最新研究でわかったというのです。例えば、人の顔を見るときに笑顔で相手を見ると、その人が無愛想にしていても笑顔に見えるそうです。

では、笑顔になるにはどうしたら良いのでしょうか。ペンをくわえると口角が上がります。表情を笑顔にすると、心が後追いで「笑顔にならなければ」と思うらしいです。要は外面が大事なのです。まずは笑うことから始めてみましょう。

なぜ、このような話をしたのかと申しますと、自社商品をより魅力的に見せるには、バイヤーに笑顔で商品を見てもらうことが必要だということです。

ですから、まずはあなたが笑顔になってください。商売人になることです。「笑顔で右手を左手で包み、下ろす。」これがお迎えの姿勢であり、「あきんど」の姿勢です。

展示会では3秒で理解させることが大事

次のコツは、展示会・商談会でのパネルの装飾は、「読んで3秒でわかる」ようにすること。
事例を紹介します。

いま、スモーク製品はとても人気です。なぜかというとワインと一緒に楽しむ人が多くなっているからです。例にあげたこのデザインなら、「島根県産のすずきのスモーク」であることが3秒でわかります。同様に、宍道湖のしじみをピーアールするパネルですが、味の良さではなく、環境に配慮をしていることを謳っている点が斬新です。

また、皆さんがバイヤーにサンキューレターを出すとき、メールでも良いですが、私は読まれる確率が高い手書きのハガキをお勧めします。内容に感動したら、受け取ったバイヤー自身は取引できなくても、知り合いに「人も商品も良いので、取引をしてみないか」と、紹介したくなるものです。トップセールスをしてくれます。

「名刺」は商談を次につなげるツール

展示会・商談会で気をつけたい9つのカン・コツ・ツボをまとめます。

  • ①1ブース=1アイテム=1ターゲットに絞り込む。多くの出展者が集まる全国規模の商談会では、既存商品の中で売れているものの中から1アイテムを選んでください。「3秒でわかってもらう」ためです。
  • ②事前に見込み客に招待状を送る。
  • ③試食の大きさ・量は会場内でどこよりも大きくする。
  • ④自社ブース内での立ち振る舞いに気をつける。 自社ブースでの飲食は絶対に止めてください。特にお昼のお弁当は要注意。
    ブースでお弁当を食べていると、その程度のレベルの会社だと判断されます。
  • ⑤代表者や製造責任者が最前線に立って商品の説明をする。スーツよりも、制服や作業着の方が断然話しかけやすく、専門知識をもっているように感じるものです。
  • ⑥資料はひとまとめにして渡す。サンプル商品+綿密な商品提案リスト+業界冊子+レシピ+名刺をファスナー付きのプラスチックバッグに入れて渡す。
  • ⑦1社に費やす時間を決める。
  • ⑧海外の販路拡大に備える。
  • ⑨商談直後にいただいた名刺にA・B・Cを記入する。 A…見積もり依頼があった
    B…見積もり依頼はなかったが興味を示した ⇒ サンキューレターを出す
    C…興味を示さなかった

試食は、立ち止まってもらうための手段です。

試食の感想を聞き、それに対する感謝の言葉を伝えて、すかざず「もし、よろしければお名刺を頂戴できますでしょうか」と切り出します。これを言わずして、展示商談会に出る意味はありません。

名刺をいただくことで、早い段階で商談すべき相手か否かを見定めることもできます。そして商品提案リストをお見せしながら、短いセンテンスで商品の特徴を説明して、アドバイスを求めてください。それに対して、そこにいる全員でバイヤーの目を見て相槌を打つのです。そのときに資料一式を渡します。

いろいろと申し上げましたが、先手必勝の名刺交換と最高の笑顔。この2つができれば、良い結果が得られることは間違いありません。

感想どの商品をどの企業に売り込むのかといった、展示商談会の準備の基本を再確認する良い機会になったのではないでしょうか。また、笑顔の効果と合わせて、バイヤーをお迎えする姿勢、名刺交換の実践など、相手に好印象を与えるコツのレクチャーもあり、「東北復興水産加工品展示商談会2019」の準備に、そのまま取り入れられる内容であったと思います。

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。