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セミナーレポート

セミナーレポート「オリパラからEXPOへ食のハラルビジネス戦略」

令和2年2月19日に第17回「シーフードショー大阪」において、「オリパラからEXPOへ食のハラルビジネス戦略」と題して、2部構成でハラルビジネスの現状や実際にハラルに適合した商品を製造されている4社のメーカーの方々からその取組内容について、ハラル対応商品の試食を交えながらお話しいただきました。

  • ▲ セミナーの様子
  • ▲ いなり寿司
  • ▲ カレーライス
  • ▲ から揚げ

第1 部 「魚にハラル認証は必要 ? シーフード関連のハラルビジネスの現状」


講師
一般社団法人ハラル・ジャパン協会
代表理事 佐久間 朋宏 氏

基本的なハラルの現状

イスラム教徒の人達は世界中におり、その半分がアジアに集中しています。東南アジア各国の総人口6億5000万人うち3億人がイスラム教徒です。特にマレーシア、インドネシア、シンガポールのアセアンイスラム市場に向けたビジネスが今後加速されるのではないかと思われます。

加工されていない一次産品は基本的にハラルなので、魚はハラルです。しかしながら、近年、味付けされたものなど加工度が高い商品も多く、原材料や加工方法が分かりにくいため、ハラル認証が要求されることが非常に多くなってきました。それに加え、現在、シンガポールやマレーシアでは、明らかにハラルである卵にもハラル認証を取っているものがあります。要はハラル認証があった方が分かりやすいということなのです。従来のように肉由来のものや加工食品、添加物だけではなく、一次産品にもハラル認証をもつものが徐々に増えつつあります。

ムスリムが求める日本の食事

ムスリムの方が日本に来て「何を食べたいのか」となると、それはB級グルメです。日本人が普通に食べているランチやおやつ、おかしです。

インバウンドは特別食から一般食へ。イスラム教徒専用ではなく、イスラム教徒も食べて、外国人も食べて、日本人も食べる。まさに「普段使いの食」のハラル対応が大切で、近年は、業務用スーパー、コンビニ、サービスエリアなどにもハラル対応商品が出てきています。毎日のことなので安価で量のあるものが必要です。

海外向けの輸出を考えている方へ(助成制度の紹介)

輸出を考えている方向けに農林水産省が推進するGFP(ジー・エフ・ピー)【Global Farmers /Fishermen / Foresters / Food Manufacturers Project】 という日本の農林水産物の輸出プロジェクトがあるので、こちらもぜひご活用ください。

GFP 農林水産物・食品 輸出プロジェクト
https://www.gfp1.maff.go.jp/

第2 部 「ハラルの取組事例紹介」

ハラル対応の食品を実際に作っていらっしゃるメーカーの方々4名に、それぞれの取組内容についてお話しいただきました。

① 「ハラル認証向け取り組みと課題」


講師
株式会社いまる井川商店
代表取締役社長 井川 剛志 氏

ハラル対応に取り組むきっかけ

漬魚を中心とした魚の加工を行っていますが、原料の高騰、物流費や人件費などのコスト高などから、経営としての不安材料が多く、新たなマーケットを模索している中でハラルのことを知りました。ハラルのマーケットを学ぶにつれて、親日的で膨大なマーケット、日本食へのニーズがあることが分かり、対応次第では企業の持続成長にとっての「不安・リスク」を「チャンス」に変えるものではないかと考え、ハラル対応商品の開発を決めました。

商品づくりで注意した点

▲ ハラル対応商品のひとつ まぐろカツフライ

当社の商品は、みりん漬けやみそ漬けの加工品があることから、まずはアルコールと調味料、添加物を調べ、ハラル対応になるよう変更しました。

商品開発を進める中で、既存の工場のライン(非ハラル対応)との交錯は大丈夫かという課題が出てきました。これについては、ハラル商品を朝一番に加工して、さらにチェック表で明確に管理し、容器もハラル専用にすることで解決しました。そして、ハラル対応の調味料にも合う魚を選び、「マグロのみりん漬」、「銀だらの煮つけ」を商品化しました。さらに、ハラルは揚げもののニーズが高いことから、粉付け製品を開発しました。

今後について

販売先を模索する中で、単価を抑えた業務用に商機を見出しています。そして、それらの先には、留学生や社員食堂、ホテルのバイキング、オリンピック食材など多くのニーズがあることが分かりました。
2022年にはHACCPを取得した新工場を建設予定であり、まずは、国内のハラルを中心に取り組み、いずれは輸出することを目標に考えています。

② 「食の多様化に向けたメニュー対応事例」


講師
エスビー食品株式会社
業務用営業部業務用企画ユニット
福田 敦 氏

食に対して配慮が必要なお客様が増えてきた

昨今の訪日外国人の増加に伴い、食の規律を求められることが多くなりました。宗教上の理由、健康上の理由、またベジタリアンやヴィーガン(絶対菜食主義者)、ハラル、コーシャ(ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと)といった方々への対応が必要となり、さまざまな「禁忌のあるお客様」が多くなってきている一方で、日本の外食の現場は原材料の高騰によるメニューの絞り込み、慢性的人手不足等の理由から、これらに対応した特別食を対応する余裕がなくなってきています。

「ムスリムフレンドリー」から始めるムスリム、ベジタリアンへの対応

そこで、当社で製造している動物性原料不使用のカレーを例とした外食等における「ムスリムフレンドリー」(認証とは関係なく自発的にイスラム教徒の要求を理解し、適切なサービスでおもてなしをすること)の対応をご紹介します。

まず、ムスリム、ベジタリアンの方も食べることのできる「動物性原材料不使用」、「アルコール不使用」のベースメニューを決め、トッピングにより、バリエーションを出すことで、特別メニューを別途作ることなく、幅広いお客様に対して食事を提供することが出来ます。
また、提供に際して注意することとしては、ムスリム、ベジタリアンへの対応ポリシーを策定することが必要です。例えば、
・当店は第三者機関によるハラール認証は受けておりません。
・厨房は一般調理を行うため、ムスリム(ベジタリアン)専用ではありません。
・まな板や包丁、ボール、フライヤーなどの調理器具は分けて使用しています。
・ムスリル(ベジタリアン)のメニューは事前予約が必要です。
など、出来ること、出来ないことを明確に伝え、持続可能なおべーレーションをすることが大切です。

③ 「ハラールますのすし」について


講師
株式会社千歳
専務取締役 大郷 磨 氏

ハラル対応の「ますのすし」をつくるキッカケ

富山市のインバウンドセミナーで、ハラル・ジャパン協会の佐久間氏に「“ますのすし”ですね。ハラルじゃないですか」と言われたのをきっかけに、すごく単純に、それならばハラル商品として売り出そうと考えました。

ハラル対応に際して苦労した点

気軽な気持ちで始めたハラル対応の「ますのすし」の商品開発ですが、いざ始めてみると様々な疑問が湧いてきました。

例えば、ますのすしの原料は、米、マス、醸造酢、砂糖、食塩/調味料(アミノ酸等)です。それぞれ成分表を細かくチェックする中で、調味料(アミノ酸等)に含まれる成分について、OKなのかの判断がつかないものがありました。また、醸造酢の原材料は、アルコールが添加されていましたので使用NGでした。

原材料について見直しをする中で、疑わしいもの、微妙なものは使用しないことに決め、酢については、全国からあらゆる酢を取り寄せて成分を確認し、ノンアルコールのものを選びました。そして最終的に使用する原材料はコメ、サケ、酢、砂糖、塩に決定しました。オリジナルの味と遜色なくするため、試行錯誤を繰り返し、2020年1月1日に富山の名産品の「ますのすし」でハラル認証を日本で初めて取得することが出来ました。

▲ ハラルに対応したますのすし

ハラル関しては、今スタートラインに立ったばかり。これから、いろんな業種の方、様々な人たちとコラボレーションしていきたいと考えております。私で5代目となりますが、老舗の味を守りながらも、創意工夫を重ねて新たな味を追及していきたい。そして富山の名産品である「ますのすし」を通して、生まれ育った郷土富山の地域発展に貢献していきたいと考えています。

④ 「ハラル認証商品の取組」


講師
株式会社三丹本店
代表取締役 久田 恭司 氏

ハラル対応の商品開発までの経緯

もともとは3年前に「冷凍総菜」を海外に輸出できないかと考えて、シンガポール、タイ、ベトナムの展示会に出展し商談をしていましたが、価格が全く合わないという問題にぶつかりました。そこで国内に目を向け、インバウンド向けの販路を模索していたところ、ハラルに出会い、ハラル対応の商品開発をすることに決めました。

ハラル対応の商品開発

当社の食品工場の一つに、水産物を使った寿司中心の加工をしているところがあったので、そこがハラル製品を作るのにふさわしいと考え、工場が決定しました。そして肝心の商品については、当社のある福井県が「油揚げ」消費量日本一という点、また、時間の経過とともに品質が変わりにくいという点を加味し、「いなり寿司」を作ることにしました。

苦労したのは味です。まず試食が必要と考え、福井県在住の留学生を呼んで試食会を開きました。意外にも五目いなりや富津金時いなりなど、野菜系が美味しいと好評で、一番自信のあった「牛しぐれ煮」を入れたいなり寿司が留学生たちにはダントツで不人気となったのです。この結果を受け、自分たちとは味覚が違うということ、そしてより甘味がある方が好まれるということが分かりました。それから何度も試食会を開き、実際のムスリムの方の意見を取り入れながら味の改良を行い、やっとの思いで商品化。そして昨年の12月には「いなり寿司」でハラル認証を取得することが出来ました。

▲ ハラル対応のいなり寿司

商品作りの中で学んだことは「自然食品、無添加食品」が一番だということ。それらは食べているうちに「飽きない」のです。そしてこれは、ハラルという枠の中だけでなく、ベジタリアンやヴィーガンなど広い世界に通じることだと感じました。

これからも、こういった経験を活かしながら、社員全体でより良い商品作りを頑張りたいと思います。

セミナーレポート「水産物の放射能調査について理解を深めるために」

令和2年2月19日に第17回「シーフードショー大阪」にて「水産物の放射能調査について理解を深めるために」というテーマでセミナーが行われました。放射能についての基礎知識や、最新の水産物のモニタリング結果を交え、放射線リスク等について説明を行っていただきました。


講師
水産庁 増殖推進部 研究指導課
水産研究調査班 企画係 田中 宏樹 氏

① 放射線についての基礎知識

放射性物質について

放射性物質とは、放射線を出す能力(放射能)を持つ物質のことです。放射性物質には、自然由来のものと人工由来のものがありますが、同じ種類の放射性物質であれば、性質に違いはありません。つまり、人工由来であるから危険だというような考えは間違いといえます。

放射性物質に対する単位として、「ベクレル(Bq)」や「シーベルト(Sv)」があります。食品等に含まれる放射能の量をベクレルで表し、人体が受ける放射線の影響(被ばく量)は、シーベルトで表します。
同じ量(Bq)の放射能であっても、その種類が異なると、被ばく線量(Sv)も異なります。
なお、放射線による人体影響は、被ばく量100mSv以下であれば喫煙、飲酒、肥満といった生活習慣要因などに隠れるほど影響が小さいとされています。

食品の基準値について

日本人1人が1年間に受ける被ばく線量は、自然由来が約2.1mSv、人工由来が約3.9mSvの合計約6mSvとされています。食品の国際規格を定めるコーデックス委員会では、この6mSvに加えて原発事故の影響を受けた食品より追加的に受ける被ばく線量の上限を年間1mSv以内と定めており、日本やEU等でその考え方が採用されています。

食品は飲料水と一般食品に大別することができます。
飲料水の基準値は、世界保健機関(WHO)の指標に沿って、10Bq/kgに設定されています。2Lの水を365日飲むとして計算すると、飲料水由来の染料は年間約0.1mSvとなります。
よって、一般食品の線量の上限値は、飲料水の上限の約0.1mSvを差し引いた約0.9mSvとなります。
基準値を定めるにあたり対象とした放射性物質は、福島第一原発事故で放出されたもののうち、半減期が1年以上であるセシウム・ストロンチウム・プルトニウム・ルテニウムです。このうち、セシウム以外は検査に長い時間を要すため、測定が容易で、線量比率が比較的高いセシウムを指標として基準値が設定されています。また、セシウム以外の線量比率を推定し、その影響も加味することで、セシウム以外もしっかり考慮した基準値が設定されています。
また、被ばく量と放射性物質濃度の関係式は以下のとおりです。

飲料水を除く一般食品の線量の上限値(約0.9mSv)を超えないよう、以下を前提として放射性物質濃度の限度値を算出し、基準値を設定しています。

● 実効線量係数は、対象としたすべての放射性物質の影響を考慮
● 食品全体の50%を国産品とし、国産品のすべてが放射性物質を含むと仮定
● 体内への留まりやすさ、年齢・性別による摂取品目・量の違いを考慮して各年代ごとに計算

上記の条件を踏まえ計算を行うと、最も線量の影響を受けやすい世代・性別が13~18 歳・男性となり、その限度値を120Bq/kgと算出されました。一般食品の基準値は、これをさらに安全側に切り下げ、100Bq/kgに設定されています。

すなわち、一般食品の基準値(100 Bq/kg)は、放射性セシウム以外の放射性物質の影響も含めた上で、すべての世代の計算結果を考慮して設定されたものとなります。

② 水産物中の放射性セシウムの近年の状況

水産物の調査について

モニタリングの調査計画は関係自治体が、前年度に50 Bq/kg 超となった品目、過去に高い値が検出された品目を中心に生息域・漁期・近隣県の調査結果等を考慮しながら設定します。
調査の結果、基準値を超過した場合は、各自治体の要請による自粛や原子力災害対策本部長の指示による出荷制限が行われます。なお、基準値を超過しなかった場合でも、基準値に近い値が出た場合や近隣県で高い値が出た場合は、モニタリング調査が強化されます。

調査結果について

水産庁では、2019年12月31日までに、全国で147,828検体の調査を実施し、全体の98.0%(2019 年度は99.94%)が基準値以下となっています

水産物中の放射性セシウム濃度は年々減少傾向にあるため、水産物の基準値超過率も年々減少傾向にあります。特に海産種では、基準値超過は極めて少ない状況にあります。また、放射性セシウムの濃度は、福島県とそれ以外の県で区別しても同様の減少傾向を示しており、品目ごとに区別しても、生態の違いにより減少幅に差があるものの、同様の減少傾向を示しています。




③ さかなの放射性セシウム取り込み経路『現在でも汚染され続けていますか?』

魚類は、カリウムや放射性セシウムなどの塩類を、環境水(淡水・海水)や餌から体内に取り込んでいて、その一部は、魚体内の塩類調整の過程で自然に体外へ排出されています。つまり、環境水中の放射性セシウム濃度が低下すれば、魚類の体内の放射性セシウム濃度も低下することになります。

他方、海底土からの影響については、放射性セシウムに汚染された海底土を敷き詰めた水槽での飼育実験の結果から、底魚類が海底土から直接的に、または、や底生生物から間接的に放射性セシウムを取り込み、基準値を上回る濃度にまで汚染される可能性は極めて低いことが分かりました。

*出典:平成27 年度東京電力福島第一原子力発電所事故対応の調査研究における
主要成果(水産研究・教育機構)

④ 放射性物質関連パンフレットの紹介

セミナー会場で配布した冊子については、下記のHPからPDF版を無料でダウンロードできます。「知ってほしい放射性物質検査の話」は英語の他、中国語、タイ語の翻訳版もあります。
また、上記の検査結果についても、水産庁のHPで確認することができます。

セミナーレポート「専門家が繋ぐ水産加工業の未来 ~新たな事業を考える~」

令和2年2月19日に第17回「シーフードショー大阪」において「専門家が繋ぐ水産加工業の未来 ~新たな事業を考える~」と題して、これからの水産加工業について、業者間・地域間の連携、資源活用、情報収集・発信等の必要性についてお話しいただきました。


講師
有限会社NEWビジネス研究所
天野 良英 氏

従来のビジネスモデルを考える

今も昔も水産事業者は、それぞれ同じ地域で同じ魚種を出荷していても協力関係にはないことが多いため、どんな設備をもって、どのように加工しているのか知らない場合が多いのです。しかしながら、魚が獲れない、人がいない、国内消費減、世界的に魚食拡大で魚が世界に散らばっていく・・・このように水産業を取り巻く環境が大きく変化している中で水産事業者が生き残っていくためには、経営資源、情報、技術、販路等の面で他者との何らかの協力が必要であると考えます。

新たな付加価値化を目指す

① 様々な連携による新たなビジネス

経営革新に必要な経営資源をすべて自社内に保持することは、変化への対応を遅らせる可能性も大きく、膨大なコストとリスクを負うことになります。そこで、自社単独で「経営革新」を行うよりも、他社、他地域との連携を通じて自社、地域の「強み」を持ち寄り、不足する経営資源を相互に補完することで、市場ニーズに対応する方が効率的であると考えます。顧客や地域の課題やニーズを把握し、それに対応する形で技術・ノウハウ・商品等を組み合わせて提供することで、新たな収益につながります。

【生産者と販売者の連携】
生産者も販売者もそれぞれ課題を抱えた中で、共通の課題というものも存在します。例えば、生産者が作った商品を売り出したいと思っても、販売者のいる地域で知名度の低いものであれば消費者はなかなか手を出さず、どんなにいい商品でもその価値は伝わりません。そこで、生産者側からの情報をイベントや催事を通して、販売者と連携して消費者に発信していくことで、販売チャンスを増やし、さらにそこで得た意見をさらなる商品づくりにも生かすことが出来ます。

② 希少な原料をどのように生かすか

水産物は、獲り尽くしたりしなければ、いつまでもその恵みを受けることが出来ます。しかし、利用の仕方をひとたび誤れば、その自然の恵みも失われてしまいます。漁業資源が減少している今、海の環境と私たちの食を守る上で、「持続可能な利用」が大きなテーマになっています。

限られた資源を守る取組をしっかりと行うことはもちろんですが、「資源や生態系に配慮した、安心して食べられる魚である」と消費者に伝えることも大切です。その方法として、海のエコラベル「MSC」の漁業認証制度や「ASC」の水産養殖認証制度があります。こういった認証を取得することも付加価値創造のひとつの手段となります。

【認証の取組のメリット】

・原料から流通まで環境に配慮された商品として付加価値が生まれる。
・顔の見える商品としての価値の提供
・認証商品の積極的な小売店との取引が可能
・輸出商品としての商品価値が上がる

認証取得を目指すとなると、加工工程を掘り下げることが必要となり、成分分析も行うようになります。
品質を維持するための作業の必要性等も分かり、加工方法についてもより深く理解出来るようになります。認証を取るということ以外にも、その過程にも重要な意味があると思います。

③ 復興水産販路回復アドバイザー等の活用

水産加工業は下請けをしている事業者が多く、自社商品のないところは、商談会等に出る機会も少なく、情報発信も収集も出来ないところが全国にたくさんあります。また、せっかくの工場の設備も持て余してしまっているという状況もあります。
自社設備や製品を見直す中で将来的な方向性を見つけるということも進む方向の一つとして考えています。そのために復興水産販路回復アドバイザーなど専門家を是非活用してください。様々な課題に対応する専門家がいます。そして、情報発信・収集する中で、新しい商品やビジネスや連携が生まれることを期待いたします。

【事例】

  • ・東京の水産会社Aのレトルトパウチ商品をOEM製造していた焼津市の水産加工会社Bは、設備の更新ができず、受託製造の継続が困難な状況になっていた。
  • ・一方、石巻市の水産加工会社Cは、復興事業を活用してレトルト殺菌釜を設備したものの原料価格高騰等により十分に活用することができずにいた。
  • ・後継者を求めるA・Bと設備を有効活用したいCをアドバイザーが仲介して、AとCの業務委託関係が成立。BがCに製造ノウハウや品質管理をアドバイスしたことで事業移管が円滑に行われ、委託製造が継続されただけでなくCの地域資源を活用した新商品開発にも繋がった。

セミナーレポート「東北のマイナー産品「ほや」の売り方」

令和2年2月20日、第17回「シーフードショー大阪」にて「東北のマイナー産品「ほや」の売り方、広がるファンコミュニティと最新動向」というテーマでセミナーが行われ、ほやの魅力や、認知度向上・販路拡大の取組を紹介していただきました。


講師
ほやほや学会
会長 田山 圭子 氏

「ほや」による東北の振興をミッションに掲げ、ファンとともに「ほや」の認知度向上と、消費拡大を目指すネットワークで、「ほや」の情報、レシピ、イベントなど、「ほや」の情報を発信する活動を行っている。

◆ 近年のほやを取り巻く状況

「ほや」は宮城県を代表する海産物で、国内の生産量の80%を占めていましたが、東日本大震災により養殖は壊滅的な被害を受けます。

そんな状況の中、震災の年に種付けを行い、3年後の出荷を待ち望んでいた最中、ほやを取り巻く状況は悪化。震災前にはその生産量の70%の輸出先であった韓国は、震災直後からの輸入規制を2013 年にさらに強め、東北・関東の海産物の輸入を全面禁止としました。加工業者も加工原料として使用することで、養殖のほやを買い支えていましたが、なかなか新規の売り先がない状態でした。

そこで、ほやほや学会は、加工会社・生産者らとともに「ほや販路拡大プロジェクトチーム」を組み、食べなじみのない地域の方にもほやの魅力を知ってもらうため、Facebook、Instagram、Twitter を通じて活用例やレシピなど情報発信を行っています。今回のセミナーでは、「ほや販路拡大プロジェクトチーム」による活動について紹介していただきました。

◆ ほや販路拡大プロジェクト推進チームで行った取組

ほやの立ち位置を分析

ほやがピンチの状況で、どのようにほやを売っていけばいいのかという問題に対して、まず「ほや」の強みと弱みをしっかりと分析しました。産地・消費地が限られた食材だけに、加工業者だけがアピールしても話題になりにくいため、さらなる認知度向上・消費量拡大には、ほやに関わる方々の連携した取組が重要であるという方向性が見えてきました。

ほやの活躍の場を広げる

「男性が居酒屋で日本酒とともにほやの刺身を食べる」。
ほやに対して現状そのようなイメージを持つ方も多いと思いますが、ほやは刺身での楽しみ方ももちろん、てんぷらやしゃぶしゃぶなど火を通すことによって広がる味の奥深さなど食べた人が驚くポテンシャルを秘めています。

もっとたくさんの場所でいろいろな方に楽しまれ、食べてもらえる食材であることを知ってもらうため、ほやほや学会は、食材としてのほやの魅力を料理人の方々に提案しています。その活動の中で、殻を炒めて香りを引き出したビスクや、ほやの出汁で作ったラーメン、懐石料理店で「ほや尽くし」メニューが作られたりと、様々なジャンルのシェフの手により、新しいほやメニューが次々と生まれ、その食材としての実力が評価されています。

また、F1層(20~34歳の女性)やF2層(35~49歳の女性)を対象に、ほやのアレンジメニューの試食・アンケート会などで嗜好等調査し、8割の人が「ほやをまた食べたい」という結果になりました。その結果をメーカーや飲食店にフィードバックし、ほやの女性人気を理解してもらうことで消費の拡大を図っています。

高鮮度商品のブランド化と栄養価の訴求

ほやの鮮烈なうまみを最も感じられるのは生のほやですが、においが苦手という方も。においの原因のひとつは、糞の残留です。この問題を何とかできないかと、生産者が工夫を凝らし、「鮮美透涼ほや」という商品を開発しました。これは、ほやの水揚後、餌を食べない状態に置き、体内の糞を吐かせることで糞の残留を減らしたものです。鮮度の良い、おいしいほやを提供することでほやのブランド化を目指しています。

また、「ほや」は、カロリーが低くミネラルが豊富でさらにアルツハイマー対策に効果があると言われる注成分「プラズマローゲン」も含まれています。プラズマローゲンは鶏や牛、ホタテにも含まれていますが、ほやは、より脳機能を正常に保つ効果の高いDHA結合プラズマローゲンを特に多く含み、栄養面でも訴求できる食材です。

ほやファンの育成

SNSを活用したキャンペーンを行うことで、今までほやに関心がなかった世代・地域の人にもアピールでき、またもともと好きな方々にもより深くほやのことを知ってもらう良い機会となっています。

  • 1)webでのキャンペーン
    ほやの魅力が伝わる写真を「#ほやラブ」をつけてTwitter、Instagramに投稿すると、ほや商品詰め合わせがもらえるキャンペーンを実施。ほやファンからレシピを募った「ほやレシピコンテスト」では、184レシピが集まったそう。
  • 2)冬に食べようほやフェア
    水揚げ時期の夏に限らずほやを食べられるよう、冬のほやフェアを開催。140店舗以上の参加店の情報、取り扱いほやメニューなどを掲載し、フェア終了後は「ほやの食べられる店MAP」として継続的に情報を提供。
  • 3)コアなほやファン「ほや伝道師」
    ほやの知識が身につく「ほや伝道師テスト」をほやほや学会HPにて無料で実施。受験してほやの知識が身についた方は、「ほや伝道師」登録の申請をすると認定証がもらえます。ほやファンの方、このレポートでほやが気になった方はぜひ受けてみてください。

ホヤについてもっと知りたい方はこちらをご覧ください
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