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コラム復興水産販路回復アドバイザーコラム

第21回機械導入でピンチをチャンスに

柏谷 浩一 氏
今回コラムを書いていただいた方

プランナー組織6サポwest

柏谷 浩一

専門分野

  • 商品開発
  • 省人化
  • 機器導入
  • 小売販売
  • 加工技術
  • マーケティング

省人化機器の導入に関して

私はアドバイザーとして主に機械・設備の分野のご相談を担当させていただいておりますが、ほとんどの地域において人手不足でお困りで、省人化機器を必要としています。

省人化機器とは、自動選別機、三枚おろし機、バッター・パン粉付け機、オートパッカーなどで、これまで手作業で行っていた製造工程の一部や全部を自動でやってくれる機器のことです。それらの機器の情報提供や選定のアドバイスを行う中で私が常にお話しているのは、「機器を人手の代わりとして設置するだけでは、非常にもったいない」ということ。

例えば、選別や加工の機械を導入すると、正確・迅速な処理に加え、魚が人手に触れなくなることで品温上昇が抑えられ、魚の鮮度劣化を防ぐことができるようになり、その工程の品質管理が飛躍的に向上します。

ひとつの工程が改良されると次は、その前工程・後工程も見直しを行い、より迅速に処理するように工夫したくなりませんか?そうすると、入荷時や梱包時まで含めた工程全体の動線管理にも気を配るようになるほか、品質管理意識が高まり、工場全体を俯瞰的に見られるようになるという波及効果がでてきます。これが「機械導入を活かす」手順・方法です。

また、従業員の方々にも「なぜこの機械を入れたのか」を説明し、品質管理意識を共有してもらうと、モチベーションも上がります。

1つの機械の導入をきっかけとして、「自社のおいしい魚をおいしいまま届ける」→「子供の魚離れを防ぐ」→「日本の魚食文化を守る」といった共通のテーマを共有することで、会社と従業員の方々のエネルギーにしてください。

加工機器導入に関して

加工機器、特に加熱機器の老朽化も問題となっています。中でもボイラー設備による蒸煮や蒸し工程は、設計が古くまた配管等も大掛かりで、やり替えるにしてもなかなか厄介です。

それに対しては、最新の加熱機器を紹介しています。「スチームコンベクションオーブン」です。
これは料理用に開発された業務用機器で、加熱ムラが少ない、細かいステップでプログラム可能、中心温度計で製品の芯温を計りながら制御するので、火の通り過ぎを防ぐことができるなどの特長があります。何よりありがたいのは、スイッチを入れたら機械任せで、人はほかのことができる点です。また最新の設計のため、庫内温度・製品芯温・時間等のデータはすべて記録され、取り出せます。(HACCP対応)

また、焼き魚などの焼成ラインの代わりとしても有効です。焼きながら蒸気も出せるので、熱効率が良く、速くそしてふっくらと仕上がります。表面焼き色のプログラムも可能です。よほどの大量処理でない場合は、置き換えが可能です。

スチームコンベクションオーブンの一例

蒸煮・蒸し・焼成ラインなど、従来は大掛かりな設備を備えていました。昔ほど魚が獲れなくなった今、それらを入れ替えるよりも、最新の調理機器でプログラム運転をし、バッチ処理ながらあえて処理量が少なめの機種を選び、回転数で稼ぐ。そういった小回りの利く運用が、効率アップ・歩留まり向上・ランニングコスト削減につながると思います。同時にエコの観点からも時代に求められているような気がします。

専用の機器でないと対応できないものもありますが、「有りもの」で置き換えられるなら検討の価値はあります。上記以外でも最新の調理機器は精度と使い勝手が非常に良くなっています。またそれらの中古市場も成熟しています。

それ以外のアドバイス項目としては、急速凍結システム・低温熟成技術と機器の応用(製品付加価値向上)・自動温度監視システム・粗熱取り装置・新調理クックチルシステム・商品カルテ等々があります。また、製造工程モデル図を基に作業環境・作業動線も含めた問題点の洗い出しのお手伝いもしていますので、何かお困りのことがありましたら、「復興水産販路回復アドバイザー」へお気軽にご相談ください。ぜひ一緒に考えましょう。