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コラム復興水産販路回復アドバイザーコラム

第18回ブランディングについて

藤村 公平 氏
今回コラムを書いていただいた方

日本ブランドビジネス研究所 代表
中央サポートセンター6次産業化プランナー
京都府農業会議専門家

藤村 公平

専門分野

  • 販路拡大
  • 商品開発
  • 流通
  • 小売販売
  • マーケティング
  • その他

ブランディングのメリット

「ブランディング」とは平たく言えば、自社の商品を別の会社の商品と区別するための様々な活動のことを指します。「ブランディング」は、単なる「企業都合の目標」ではなく、多くのステークホルダーと共有する「社会目的」になります。メリットとしては、次のような事項が考えられます。

知名度向上と販売拡大
価格プレミアム
リピート率の向上
ビジネス機会の拡大

仕入れコストの削減
宣伝コストの削減
人材採用力の向上
働く意欲の向上

地域名でのブランド商標登録は認められていないのが現状ですが、八戸、久慈、宮古、釜石、大船渡、石巻、塩釜、相馬、小名浜などの漁港の知名度は、全国的にもブランド価値が相当に高いものと思われています。○○漁港水揚げといった漁港をタイトルに結びつけることは、発信者側よりも消費者側への訴求効果が大きいです。

東北地域の地域団体商標には、

青森県 ⇒ 風間浦鮟鱇、津軽海峡メバル、十和田湖ひめます
三沢昼いか、大間のまぐろ、横浜なまこ

岩手県 ⇒ 真崎わかめ

食の地域ブランドでは、
仙台名産「笹かまぼこ」が取り上げられています。

ネーミングアプローチによるブランド訴求の事例紹介

購入者は最初の0.2秒で直感的に選び、次の0.2秒で合理的な取捨選択されるといわれています。そのため、最初の0.2秒の「直感的」な部分に訴えかける「ネーミング」や「デザイン」は重要であると言えます。

私自身は、百貨店宣伝部に勤務した後、観光協会の事務局長、農業生産法人に携わり、地元観光商材や地元商材開発、ネーミング、ブランディング等、様々な視点で販路拡大に注力して参りました。ここで数点、ネーミングアプローチによるブランド訴求の事例をいくつかご紹介します。

事例①:唐辛子 農業生産法人の在籍時、当時は「世界一辛いハバネロ」というメキシコ産の唐辛子の訴求活動を行いました。取材ロケで取り上げていただき、若手コメディアンがその辛さにびっくりしてのたうち回っている姿が放映され、人気を博しました。
ブランド訴求を行う際に、「有名人を起用」「メディア露出」等も重要ですが、この場合は、「世界一辛いハバネロ」というネーミングから、消費者の皆様に「世界一辛い」というインパクトを与えることができたこと、さらに味もそれを証明できる商品であったことが有効であったと思われます。

事例②:紫芋焼酎 今や京都府亀岡市の名産品でもある「古都の煌」は、農業生産法人の在籍当時に開発・営業にも関わった商品で、京都・亀岡育ちの紫芋「パープルスイートロード」と京都・亀岡を流れる清らかな水が融合したブランデーのような味わいの紫芋焼酎です。「古都の煌」のネーミングにあったっては、歴史ある“都”にブランデーのような“輝き”があるという意味が込められています。
訴求にあたっても、大々的な試飲販売を行うことで人気を博し、今や新京都名物の逸品と言われるまでになりました。

どんなネーミングが好まれるのか

ネーミングには、「その商品が何者であるか」「どんな効用があるか」「他社商品と比べて優れている点はどこか」などを伝えて購買意欲を高める役割があります。これらを伝えるための次の5原則に気を付ける必要があります。

①コンセプト適合性…コンセプトに決めた通りのメリット、特長を表しているか。
②意味性…わかりやすいか、ネガティブな意味でないか。
③画期性…競合の中で目立つインパクトがあるか。
④語感…親しみやすく、耳に心地よく響く言葉かどうか。
⑤記憶…発音しやすく、読みやすく、憶えやすいか。

この5原則のほかに以下のような視点も入れながら、ネーミングを行うとより訴求効果が高まります。

ターゲットによる好まれる言葉の音の違い 子供向けは半濁音 アンパンマン、ポッキー、プリッツ
女性向けは有声音 メルカリ、ルナ、シャネル、ノンノ
男性・男児向けは破裂音 ガンダム、ゴジラ、ドラゴンボール

魚を食べる時の食感やシズル表現をネーミングに使えないか検討してみる シズル感は、目にした瞬間に瑞々しさや美味しさが伝わるような表現のこと。
売り手側から見た「商品のこだわり」ではなく、お客様側から見た「商品を買いたくなる理由」を探し出すことが大切です。

ウェブ上で検索されるような言葉を入れる ウェブ上で検索するとき、人は何かの解決を図りたくてキーワードを選んでいるため、まさに今すぐお客様になる可能性の高い人です。商品名にズバリその名前があればそのお客様にリーチしやすくなります。

売上の向上にネーミングを変えてみるのも一案
ネーミングを変えて成功した商品
・伊藤園:「缶入り煎茶」 ⇒ 「お~いお茶」
・山形県:「みだくなす」 ⇒ 「ラフランス」
・雪印:「ストリングチーズ」 ⇒ 「さけるチーズ」
・サントリーの缶コーヒー:「WEST」 ⇒ 「BOSS」

水産の例としては・・・
サヴァ?(サバのオイル漬け缶詰)
フランス語でお元気?という意味で、オリーブオイル漬けのサバ缶が評判になる。

結びに

商品のキャッチフレーズやネーミング、ブランド、販路開拓などにバイヤー・広告マン・消費者としての目線から現地にてアドバイスさせて頂きますので復興水産加工業販路回復促進センターにお申し付けくださいませ。

<参 考>

※インタビューの内容および取材対象者の所属・役職等は記事公開当時のものです。