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コラム連載・コラム

復興水産販路回復アドバイザーコラム

第18回 ブランディングについて

今回コラムを書いていただいた
復興水産販路回復アドバイザーは・・・ 日本ブランドビジネス研究所 代表
中央サポートセンター6次産業化プランナー
京都府農業会議専門家
藤村 公平 氏
専門分野販路拡大商品開発流通小売販売
マーケティングその他

皆様の中にも視聴されている方がいると思いますが、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、るいが、あんこのお菓子店「回転焼・大月」を開業しています。

「回転焼き」に焼き印される「大月」の文字は、立派なブランドです。ストーリーを知っているファンであれば、使っているあんこは、岡山に店があるときから、先代が「美味しくなーれ、美味しくなーれ」と唱えていた姿が想像でき、美味しい回転焼きだと推測して頂けるものです。

さて、“ブランド”の語源とは、放牧していた牛に所有者がわかるよう焼き印していたといった欧米の文化から由来しており、これを“ブランド”と名付けるようになったそうです。

日本でも「かまぼこ」には「焼き印」をつける風習が昔からありますね。

室町時代での 河内鍋 河内の鋳物師
柳酒  京都の柳酒屋
法論味噌・金山寺味噌

江戸時代の  野田醤油・ヒゲタ醤油
越後屋

など、古くから屋号や暖簾で会社ロゴやブランド表記をしておりました。

■ 主な社名ブランドロゴ

▲ Amazonのブランドロゴ
矢印は広大なアマゾンAからZまでの
幅広い商品を取り扱っている笑顔のロゴ。
▲ アップルのブランドロゴ
かじったリンゴを表現
▲ 日清食品のブランドロゴ
口をデザイン化、笑顔、器を表現
▲ カルビーのブランドロゴ
カルシウムとビタミンB1を補える食材の提供
▲ マルハニチロのブランドロゴ
マルハのMと日魯のNが共鳴した波を表現
▲ イオンのブランドロゴ
真ん中のエターナルリングは永遠の平和を表現

■ ブランドのメリット

購入者は最初の0.2秒で直感的に選び、次の0.2秒で合理的な取捨選択されます。
強いブランドは、知名度の向上・価格プレミアム・リピート率の向上につながり、多くの利益をもたらしてくれます。
購入者から見たらブランドに対する感情移入、指名買い顧客の増加となって製品に対する購入満足度が上がります。

■ ブランディングのメリット

ブランディングのメリットとしては、次のような事項が考えられます。

知名度向上と販売拡大
価格プレミアム
リピート率の向上
ビジネス機会の拡大

仕入れコストの削減
宣伝コストの削減
人材採用力の向上
働く意欲の向上

「ブランディング」は、単なる「企業都合の目標」ではなく、多くのステークホルダーと共有する「社会目的」になります。
そしてこれは、ブランドの存在理由そのものになります。

東北地域の地域団体商標には、

青森県 ⇒ 風間浦鮟鱇、津軽海峡メバル、十和田湖ひめます
三沢昼いか、大間のまぐろ、横浜なまこ

岩手県 ⇒ 真崎わかめ

食の地域ブランドでは、
仙台名産「笹かまぼこ」が取り上げられています。

地域名でのブランド商標登録は認められていないのが現状ですが、八戸、久慈、宮古、釜石、大船渡、石巻、塩釜、相馬、小名浜などの漁港の知名度は、全国的にもブランド価値が相当に高いものと思われています。
○○漁港水揚げといった漁港をタイトルに結びつけることは、発信者側よりも消費者側への訴求効果が大きいと思われます。

売上の向上にネーミングを変えてみるのも一案

ネーミングを変えて成功した商品
・伊藤園:「缶入り煎茶」 ⇒ 「お~いお茶」
・山形県:「みだくなす」 ⇒ 「ラフランス」
・雪印:「ストリングチーズ」 ⇒ 「さけるチーズ」
・サントリーの缶コーヒー:「WEST」 ⇒ 「BOSS」

水産の例としては・・・

▲サバ?は
フランス語でお元気?
という意味で、オリーブオイル漬けのサバ缶が評判になる。

■ ネーミングアプローチによるブランド訴求の事例紹介

私自身は、百貨店宣伝部に勤務した後、観光協会の事務局長、農業生産法人に携わり、地元観光商材や地元商材開発、ネーミング、ブランディング等、様々な視点で販路拡大に注力して参りました。
観光協会の在籍時には、地元が明智光秀の居城があったという縁から、NHK大河ドラマ「麒麟が来る」の招致活動も行ったことがあります。

ここで数点、ネーミングアプローチによるブランド訴求の事例をいくつかご紹介します。

・事例①:唐辛子
農業生産法人の在籍時、当時は「世界一辛いハバネロ」というメキシコ産の唐辛子の訴求活動を行いました。吉本興業の若手コメディアンに取材ロケで取り上げていただき、その辛さにびっくりしてのたうち回っている姿が放映され、人気を博しました。
ブランド訴求を行う際に、有名な方とコラボする・どのようなメディアに取り上げてもらうか等も重要ですが、どのようなネーミングの商品とするかも重要です。
「世界一辛いハバネロ」というネーミングから、消費者の皆様に「世界一辛い」というインパクトを与えることができ、さらに味もそれを証明できる商品であったことから、人気となることができた商品です。

▲ ガイアの夜明けでも取り上げられた「世界一辛いハバネロ」

・事例②:紫芋焼酎

今や京都府亀岡市の名産品でもある紫芋焼酎「古都の煌」は、農業生産法人の在籍当時に開発・営業にも関わったことがあります。百貨店販売やネット販売で人気を博しました。
この商品は、京都・亀岡育ちの紫芋「パープルスイートロード」と京都・亀岡を流れる清らかな水との融合した京都地元の商品であり、ブランデーのような味わいでもあることから、歴史ある都にブランデーのような輝きがあるという意味を込めて「古都の煌」という名称となりました。
訴求にあたっても、大々的な試飲販売を行うことで人気を博し、今や新京都名物の逸品と言われるまでになりました。

・事例③:ゆるキャラ

京都府亀岡市のゆるキャラ選考委員に指名をいただいた際、当時Jリーグに所属する京都サンガF.C.のスタジアム建設が予定されていたことから、地域に生息していた絶滅危惧種「アユモドキ」を守るという意味を込めて、「アユモドキキーパーくん」というキャラクター選考を行いました。
これにより、絶滅危惧種「アユモドキ」への市民の関心が高まり、サンガスタジアムは生息地から300mほど離れた場所に建設されることとなり、市民も安堵しました。
サンガスタジアム完成と時を同じくして、京都サンガF.C.はJ2からJ1に10年ぶりに昇格を果たし、いまや全国からサポーターが駆けつけ、絶滅危惧種「アユモドキ」の認知度向上にも役立っています。

■ どんなネーミングが好まれるのか

<好まれる言葉の例>
◆子供向けは半濁音 アンパンマン、ポッキー、プリッツ
◆女性向けは有声音 メルカリ、ルナ、シャネル、ノンノ
◆男性・男児向けは破裂音 ガンダム、ゴジラ、ドラゴンボール

・魚を食べる時の食感やシズル表現をネーミングに使えないか検討して見る

シズル感は、肉を焼く時のジューという音が英語の擬音語で「シズル」と聞こえることに由来しています。売り手側から見た「商品のこだわり」ではなく、お客様側から見た「商品を買いたくなる理由」を探し出すこと。
嗅覚に訴えるシズル感、嗅覚が感覚の中で一番速く脳に届きます。そのため、カレー屋さん、鰻の蒲焼きや焼肉などお店の前に換気扇をつけて訴求します。熱い食べ物であれば、「湯気」があることで・冷たいものであれば「水滴」があることで新鮮さや美味しさを表現できます。
カメラ愛好家にとってはシャッター音がシズル感としてアピールします。

・これからのブランド・ネーミングに必要な項目

ウェブ上で検索されることが最優先になります。検索する人は何かの解決を図りたくてキーワードを選んでいます。そして、解決したい課題を抱えている人とは、まさに今すぐお客様になる可能性の高い人です。

・ネーミング選択の5原則

①コンセプト適合性…コンセプトに決めた通りのメリット、特長を表しているか。
②意味性…わかりやすいか、ネガティブな意味でないか。
③画期性…競合の中で目立つインパクトがあるか。
④語感…親しみやすく、耳に心地よく響く言葉かどうか。
⑤記憶…発音しやすく、読みやすく、憶えやすいか。

・ネーミングには、

①その商品が何者であるか
②どんな効用があるか
③他社商品と比べて優れている点はどこか
などを伝えて購買意欲を高める役割があります。

結びに

私は現在、パリに駐在していた際の仕事仲間と共に、「シェ・ヴィーガン」と題したヴィーガン向けの商品開発を、今秋から新規事業として取り組む予定です。“Chez”はフランス語で“家”を表しており、「ヴィーガンの家」というコンセプトの下、完全菜食主義者ヴィーガンが食するものからキッチン用品、家具に至るまでヴィーガンライフを満喫できるアイテムを、独自のブランド名で企画~製造販売し、ヴィーガン市場の拡大に貢献したいと考えています。

商品のキャッチフレーズやネーミング、ブランド、販路開拓などにバイヤー・広告マン・消費者としての目線から現地にてアドバイスさせて頂きますので復興水産加工業販路回復促進センターにお申し付けくださいませ。

<参 考>

・特許庁データベース(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
特許庁データベースで特許情報プラネットフォームを検索してみましょう。
称呼検索でネーミングを検索できます。

・ブランド戦略論(著者:田中洋氏)
・ブランディングの教科書(著者:羽田康祐氏)
・ネーミングの極意(著者:弓削徹氏)

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