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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

消費者から直接集めたニーズに合わせて新しい機器を導入

1年かけて工場の復旧作業を終え、生産能力は、震災前まで復活させることができましたが、原発事故による影響で、売り上げの回復はまだまだ途上です。

「なにもしないままではいけない」。

そう思った鈴木さんは、茨城県内、栃木県、千葉県、東京都などで北茨城商工会主催などのイベントに出店するように。そこでまるさ商店の今後の事業展開のヒントを得ます。

「対面販売だったので、お客様と努めて話して要望を聞き取りました。そこで『少量だけ購入したい』『調理せずすぐに食べられるものがほしい』という声を多く聞きました。それに包装資材のひとつにしても、市場向けの卸売がメインだったそれまでとは、まったくニーズが違っていました。市場向けの資材には、大量に保管しやすくすることが求められますが、同じように発泡スチロールに商品を入れて持っていったら、『ゴミが出るしかさばるからいらない』と。それらの消費者の声を参考に、うちの商品に付加価値をつけようと思ったんです」

そこで、復興支援事業の助成金を利用して、焼き魚などを調理できるスチームオーブン、少量、単品ごとに小分けして真空包装できる密着真空包装機、少量でも効率よくシラスなどをゆでることのできる回転式蒸気釜を購入。

主力商品のひとつ「4枚入りさんまみりん干し」を1枚ずつの単品包装にして販売したところ、当初予想の1・5倍の売り上げとなりました。

  • ▲ 震災前に使用していた釜は少量をゆでるのには向かないため、導入した回転式蒸気釜。沸騰も短時間でできるためコスト面でもメリットが大きい
  • ▲ スチームオーブン。調理済みの製品へのニーズに合わせて焼き魚などをつくる
  • ▲ 震災前に使用していた釜は少量をゆでるのには向かないため、導入した回転式蒸気釜。沸騰も短時間でできるためコスト面でもメリットが大きい

  • ▲ スチームオーブン。
    調理済みの製品へのニーズに合わせて
    焼き魚などをつくる

  • ▲ 密着真空包装機でサンマのみりん干しを包装する
  • ▲ 並べて真空包装したものを1枚ずつにカット、冷凍して出荷
  • ▲ 密着真空包装機でサンマのみりん干しを包装する

  • ▲ 並べて真空包装したものを1枚ずつにカット、
    冷凍して出荷

店舗ではすぐに食べる自宅用には包装しないままのもの、お土産や日持ちするものを、というお客様向けには真空包装したものを、とじつに細かいニーズに合わせて陳列しています。こうした対面販売だからこそ見えてきたニーズに合わせて、新商品開発を進めてきた結果、もともとは市場向けの業務用商品が売り上げのほとんどを占めていましたが、現在は店舗での小売り7割、移動販売2割という割合に変化しました。

「ニーズに合わせた商品開発がこれらの機械おかげでできるようになったので、残りの1割の売り上げを伸ばしていくこと。直接消費者に販売できる販路開拓が課題ですね。たとえば高速道路のサービスエリアの店舗の軒先を間借りして出店させてもらえないか、などを考えています。」

原発事故の影響で市場に卸してきた商品の売り上げは低迷しましたが、北関東自動車道が開通したのを機に、栃木や群馬からの個人のお客様が来るようになったそうです。

「毎月、買いに来てくれるお客さんもいて本当にありがたいですね。工場長のような存在だった母親が、平成24年に亡くなってから、工場、店舗、市場と行き来していると思うように指示が出せず、なかなかアイディアを形にできないこともあります。母と父が健在なうちにもっと、加工品のレシピをくわしく教えてもらっておけばよかったなと思いますね。でも、主力商品であるみりん干しは私、佃煮は妻が、しっかりとその味を受け継いでいます」

取材に伺った際、工場では「あじさんが焼」をつくっているところでした。

▲ 工場内の様子。少量ずつ多品種を作る

▲ 工場内の様子。少量ずつ多品種を作る

「この、あじさんが焼も今までは5個入りのものだけだったのですが、お客様からの要望に合わせて、1個ずつの単品包装も販売してみようと思っています」

▲ 工場長のような存在だったという鈴木さんの母、ミヤ子さんが考案した「あじさんが焼」。今後単品包装での販売を予定

▲ 工場長のような存在だったという鈴木さんの母、
ミヤ子さんが考案した「あじさんが焼」。
今後単品包装での販売を予定

さらに、鈴木さんは控えめな口ぶりながらこう話してくれました。

「保存料などの添加物は使っていません。大量生産して大量に卸すようなことはできないし、自然相手だから漁しだいで作れる商品もちがってくる。だから、スーパーなどに卸そうとすると、規格や条件が合わないんですよね。だけど、誰もが知る有名ブランドにはならなくても、一度食べて味の違いを知ってもらってまた食べたくなる、隠れブランドのような存在の店になれたら、と思っています」

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