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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

捨てられた部位を宝物に変えた祖父の慧眼

昭和32年(1957年)創業の石渡商店のルーツは、神奈川県川崎市にあります。大手食品メーカーの研究員だった石渡さんの祖父・正男さんは、フカヒレの中でも小さい部位が捨てられていたことに着目。それを無料で仕入れて横浜中華街に卸していたほか、香港に輸出をする仕事を始めたのだそうです。石渡家はそれを機に川崎から気仙沼に引っ越しましたが、石渡(久師)さんと、現社長である石渡さんの父・正師さんの名前には、昔住んでいた場所の近くにある川崎大師の「師」の文字が使われています。

「祖父は輸出事業で業績を伸ばしていきました。輸出貢献企業として12年連続で表彰されることもありましたが、1971年のドルショックで単に輸出するだけでは厳しくなった。そこで祖父は、缶詰やレトルト製品をつくる技術を習得し、新しい道を模索したのです」

この時を境に、石渡商店の製品群は大きな広がりを見せるようになりました。現在はフカヒレラーメン、フカヒレ小籠包といった中華料理から、フカヒレ茶碗蒸し、フカヒレの天ぷらといった和食向け製品まで、幅広く提供しています。また同社は加工技術でも高い評価を得ており、天皇即位を祝う宮中晩餐会や、田中角栄内閣時代に中国からの来賓を迎えて開かれた晩餐会で出された茶碗蒸しにも、同社のフカヒレが使われたそうです。

研究職出身の初代・正男さんが新商品を考案し、機械関係に詳しい2代目の現社長・正師さんが事業として具現化させていく。同社の礎は、創業者親子の長所を活かしながら築かれていきました。「私には特別そういうものはありません」と謙遜する石渡さんも、テレビショッピングやインターネット通販で業績を伸ばすなど、同社の成長に大きく貢献してきました。そしてフカヒレに続く柱として、2013年7月に市販向けのオイスターソースを誕生させています。

▲	風味を逃さないように瓶詰めされている「気仙沼完熟牡蠣のオイスターソース」

▲ 風味を逃さないように瓶詰めされている
「気仙沼完熟牡蠣のオイスターソース」

「震災後、私たちはとても多くの方にお世話になりました。新しい工場を建てられたのも、国の補助金やファンドから借りたお金があったおかげ。トラックで各地に営業に回った時も、パネルにいろんな方が応援メッセージを書いてくれました。そうしたことへの恩返しとして、地元のものを使って何か自分たちらしいものを作れないかと考えました。そこで思いついたのがカキです。気仙沼はカキも有名ですが、旬と言われる11月頃よりも、3月から5月に取れる産卵前のカキのほうが栄養たっぷりでおいしいんです。しかも安く手に入る。このカキでオイスターソースを作った結果、1年目はすぐに完売し、翌年以降も生産量が倍々に増えていきました」

石渡さんが開発したオイスターソースは品評会でも1等賞を獲得。全国放送のテレビ番組に取り上げられて話題になることもありました。その時は一日で一年分の注文量となる5万本の注文が入ったとか。

「普通のオイスターソースはカキの味がしません。ところが当社の製品は、ちゃんとカキの味がします。生ガキを酵素分解によって液体化させる特殊な製法で作っているので、カキのエキスが丸ごとソースに入っているんです。お子さんからご高齢の方まで安心して使ってもらえるように、化学調味料を使わないことにもこだわりました」

実は石渡商店では、以前にもオイスターソースを生産していたことがありました。ところがその挑戦は失敗に終わりました。業務用ではシェアを奪うことができなかったのです。初代、二代目の失敗を糧に、石渡さんは三度目の正直ならぬ「三代目の正直」でオイスターソースを成功させました。「ターゲットを業者から消費者に切り替えたのがよかったのでしょう」と石渡さんは分析します。

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