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セミナーレポート

セミナーレポート「水産加工業販路拡大セミナー」

平成28年2月29日気仙沼プラザホテルにて、年々増加するイスラム圏からの訪日観光客向けのインバウンドマーケットを販売機会と捉えた、販路拡大のノウハウに関するセミナーが開催されましたので、その内容をレポートいたします。

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第1部「東南アジア、中東からの観光客に購入してもらうためのハラル対応」

講師:
一般社団法人ハラル・ジャパン協会
中川 圭吾 氏
中川 圭吾 氏
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イスラムの市場規模はどれくらい?
イスラム市場のチャンス


インバウンド市場海外市場
 
  • 2020年東京オリンピック決定
  • 和食(日本食)、
    富士山のユネスコ無形文化遺産登録
  • 訪日ムスリム観光客の急増
 
  • 世界20億人の巨大市場
  • 人口増加と経済成長が続く
市場規模


全世界では200兆円※1※2、日本では、2020年予測 約1600億円の市場※3
①訪日ムスリム
  • 2014年
40万人外食・お土産など食市場260億円
  • 2020年
100万人外食・お土産など食市場650億円
②国内在住ムスリム
  • 2014年
20万人 938億円
※1金融市場121兆円除く
※2出展thomson Reuter and Diner Standard 2014をもとに、2013年年末の1ドル=100円で計算
※3ハラルジャパン協会試算
ハラル = 認証されたもの じゃない!?
  • マークは認証団体(世界で200~300団体)の固有のもの。
    ISOのように、世界的に基準は統一されていない。
  • 日本では30団体以上。NPO、任意団体、個人等色々な団体があるので、注意が必要。
    認証を取得する際、宗教と食品の専門性があるか等注意する事。
  • ハラルと認証はイコールではない。(認証制度を認めないムスリムもいる)
    ただ、食品で色々なものが添加されている現代では、素人には判断できないものもあるので、 その場合は認証が判断基準のひとつとなっている。
ハラル対応ってハードルが高そう・・・
「食」対してムスリムが求める対応にも結構幅がある


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非イスラム国で提供されるものは食べられないという基準を持った方もいれば、「酒」と「豚」を使用していなければ良いという考え方を持った方もいる。絶対にこうでなくてはいけないという基準はない模様。

現実路線「ムスリムフレンドリー」という考え方
「ムスリムフレンドリー」とは「完全ではないができる限りイスラムの教えに従った対応」
 → ムスリムが自分で受け入れるかどうか判断するための「情報開示」が必要
 例えば、レストランでいえば
 
  • キッチンで、豚を調理する場所を分ける。
  • 包丁、まな板を分けて使用する。
  • 自社で基準を決め、従業員に徹底。(レストラン)
ノンアニマル・ノンアルコール

水産加工品等で言えば、「あじの開き」などはムスリムの方も原材料表示を見ればハラルであると分かるそう。ただし、高次加工品となると判断がしにくくなるため、選ばれにくくなる。そのため、「ノンアニマル・ノンアルコール」をパッケージ上でしっかり謳い、ムスリムの方に判断・納得して商品を購入いただく取り組みを行っているところがある。先行事例として石巻の「一般社団法人石巻元気復興センター」では、原料や調味料において全て3段階まで原料追跡をし、豚も牛も鶏もアルコールも使用していない“ノンアニマル・ノンアルコール”の水産加工品を作り、販売を行っている。

ハラルビジネスのポイント
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ハラル対応の商品を新しく開発する場合、イスラム圏でどういった日本食が受けているか、海外進出企業などの動向や先行事例の研究を行い、さらに市場調査を重ね商品開発を行う。

国内ではムスリムの人口は決して多くないが、大学に来ている留学生やモスクなど、ムスリムの方が集まる場で試食を行い、意見を聞くことも有効である。


第2部「パネルディスカッション~ハラル輸出商社、ハラルレストランに聞く、日本の水産商材に求めるニーズとは」

パネリスト;
株式会社ネオックス(マイアウトレッツジャパン)
東京ハラルレストラン代表取締役
一般社団法人ハラル・ジャパン協会

営業課長 福田 哲也 氏
モハマド・シャーミン 氏
調査担当 中川 圭吾 氏
「アセアンへ(東南アジア諸国連合)への輸出とハラール対応について」
株式会社 ネオックス 営業部課長  福田 哲也 氏
福田 哲也 氏
訪日観光客の推移
■2014年訪日観光客による支出は他前年比43.3%伸張し2兆305億円に達した。
■成長率

01~14年 年平均+8.3%

10~14年 年平均+11.7%  と、ここ5年は増加が著しい。

■訪日観光客の中でも、アセアン諸国からの増加が著しい。

10年~14年 年平均22.6%

日本政府観光局「訪日外客数2014年」より

  • アセアンからの訪日客は急増しており、すでに無視できない存在となっている。
  • アセアンの約半分はムスリム。イスラムの知識はこれから必要となる。
一人当たりのGDP(日本とアジア諸国、2015年)
■シンガポールは、日本を抜いている

シンガポール 53,604ドル    日本     46,661ドル

  • 他のアセアン諸国はマレーシアを除くと日本の1960年代並。
アジア・GCC(湾岸協力理事会)の人口と一人当たりGDP
■3,000ドル超となると、消費が急拡大するが、そういった国がアジア・GCCに多数存在する
インドネシア3,000~7,000画像
タイ
マレーシア7,000~20,000
シンガポール20,000超
ブルネイ20,000超
つまり

経済の伸び率も高く、今後消費拡大が期待される国の内、イスラム圏の国が多く存在する。

彼らに向けたサービス提供や商品作りはブルーオーシャンの市場であり、益々の発展が予想される。

日本の水産加工業の可能性
■シンガポールの「マイアウトレット」はインスタントラーメンが売れている。
 ■従来ハラール化されていなかった商品がハラール化されて、人気がでている。
 ■非加工水産品はハラール未認証品のものが多い

  • 世界の人口   73億人(内ムスリムの人口 18億人)
  • アセアンの人口  6.2億人(内ムスリムの人口  3億人)

→インバウンド以外に輸出を検討するのであれば、ハラル認証も視野に入れた方がよい。
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また、販売には、パッケージのデザインも大切。その国の感性に合うパッケージが手に取ってもらうための大きな要素のひとつである。日本製品で最近人気なのは鹿児島発の「侍ラーメン」(ノンアニマル・ノンアルコール)。認証はとっていないが、ラーメンは保存用にアルコールを使うことが多い生麺を避けて、乾麺とし、売り場で目立つ華美な金色のパッケージでムスリムの方の支持を集めている。
モハマド・シャーミン 氏 ムスリムの観点からのお話
■どういう商品が人気があるのか
  • ムスリムにとって日本食は食べてみたいが、ハラムなものが多く警戒してしまう。
  • 中近東のイスラム教徒は、お酒が飲めないからお茶に人気がある。
  • 中近東では、中国産、インド産のお茶を輸出しているが日本産のグリーンティーとは異なり、こげ茶色。日本のお茶は、甘くて美味しいと評判。
  • 一昨年、JA鹿児島のお茶(グリーンティー)でハラル認定をとり、アブダビ展示会へ出展した。この展示会に出展した870社のうち日本企業は3社だった。
東京ハラルレストラン
代表取締役
モハマド・シャーミン 氏

まとめ
ハラルと聞くとハードルが高く感じますが、「ノンアニマル、ノンアルコール」の提示でうまくいっている例もあり、必ずしもハラル認証を取らなくてもいいということが分かりました。イスラム圏の経済的な成長も勢いが増している今、ハラル向けのビジネスを始めてみようという方の参考になったのではないかと思います。
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