「展示商談会」活用のコツ
6月に行われる東北復興水産加工品展示商談会2016をより有意義なものとするために、基本的なマーケティング視点と、商談の為の具体的なノウハウについてのセミナーが開かれました。これらの内容をまとめましたので、参加された方も展示会までに復習として是非ご覧ください。
講師: |
株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター
エグゼクティブディレクター 金井 毅 氏
株式会社ラインズ 代表取締役 大津 至久 氏 |
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小売バイヤーの目線を知ろう
バイヤーってどんな人?
・メーカーさんとの商談や現地視察などに月の半分を費やす
・仕入、商品開発、販売計画、チラシの原稿作りまで幅広く携わる
・客数、売上など常に数字を求められる
⇒ ゆえに時間が無く忙しい方が多い
■ 近年のスーパーマーケットの動き
- ・規模の縮小、ニーズの変化
(少子高齢・人口減、元気なシニアの増加、働く女性の増加、NEWファミリー)
NEWファミリー:第二次大戦後のベビーブーム期以降に生まれた世代の夫婦と子どもたちが構成する家庭
- ・進む業種のボーダレス化と市場の奪い合い
(CVSの生鮮強化・PB化による価格訴求、ドラッグストアの食品取扱い増)
CVS:コンビニエンスストア
- ・客数減少、客単価上昇
- ・大手の出展、M&Aが加速などなど、状況は大きく変化している
こういった状況の中で成功するための鍵は・・・
ロイヤルカスタマーを見極めた商品、サービス、関係性の構築
⇒生鮮品・独自商品、小商圏エリア対応、ハレの日やイベントに関する品揃えを充実
ロイヤルカスタマー:ある企業や商品・サービスに対して、忠誠心の高い顧客
■ バイヤーは商品を選ぶとき、こんなことを考えている
- ① 既存の顧客の維持と新規顧客の開拓のために必要か?
- ② 他にはないストーリーを持つ価値ある商品か?
- ③ 関連商品の買い上げ率の上がる商品か?
⇒調理法が分からない商品はメニューレシピを提供、
そのメニューレシピにより関連商品の買い上げ率アップ!
これらに応えるような提案はバイヤーに喜ばれる
水産加工品に関連する消費トレンド
■ 魚のベストフレンド「ごはん」について
- ・米の消費量が著しく減少していることから、「米離れ」と言われているが、
中食、CVSのおにぎりは増加傾向
- ・一方で「青天の霹靂」など特Aランクの高級米はヒットしている
- ・パンにはお金を出す時代
(銀座の食パン専門店は行列が絶えず、1斤800円前後の食パンが飛ぶように売れている)
- ・海外からもベーカリースイーツやFFが続々進出してきている
⇒ いいもの、こだわりの見えるものにはお金を出す時代ともいえる
■ 魚をとりまく状況は?
魚の調理は苦手という意見が多数・・・
レパートリーの少なさ、調理・片付けがネック
レパートリーの少なさ、そして調理・後片付け・ごみの処理が面倒という理由で魚料理は家庭で敬遠されがち。
主婦にとって扱いにくい食品となった魚は家庭での出番が減り、
今や給食や居酒屋など外で食べるものに変移しつつある。
調理方法にも変化が!
魚はグリルでなくフライパンで焼く時代
レシピサイトでは「魚 フライパン」で検索するとなんと28,000件を超えるヒット。 (ちなみに「魚 グリル」は約600件)
「魚 簡単」も22,000件を超え、検索ワードからも主婦の方々の求めるものが見えてくる。
それにこたえるように、焼くだけ、温めるだけなど簡便を謳った商品も増えてきている。
■ 見えてきたキーワード
- ● ごはん離れの食卓 ⇒ 日本食スタイルからの変化
・・・ パン食、麺食に合うもの、フライパンスタイル対応
- ● 中食、外食での喫食 ⇒ 自分では調理しない層
・・・ 水産加工技術による、新しいメニュー開発
- ● スイーツ・FF(Fast Food)市場活性化 ⇒ 食の消費スタイル変化
・・・ 今までの概念を覆す、新ジャンルへの進出
眠れるストーリーの発掘方法
よく取引先のバイヤーに「背景にストーリーのある商品」「高付加価値商品」を求められませんか?
自分たちの商品にそんな大げさなものは無いと思っている方も多いと思いますが、当たり前と思っていることの中に「眠れる宝」があるかもしれません。
「資産の棚卸」 すべてをテーブルにのせる
まずは自分たちの商品のいいところ、弱いところもすべて書き出してみること。
見方を変えればマイナスもプラスに言い換えることが出来る。
「少ない生産量」 ⇒ 言い換えると 「規格要望への対応力」
「古い製造環境」 ⇒ 言い換えると 「日本の風土を活かした製造方法」
「棚卸資産の評価」
■ポイント1:固定概念からの脱却
普段はいたって質素な生活でありながら「ご褒美」として高級なスイーツ・ワイン・ビールなどを買う「プチ贅沢」など新しい価値観や、炭酸飲料なのに小豆味など若い人を中心としてギャップによって目を引かせるような商品も近年出てきている。いかに固定概念から脱却するかがヒット商品誕生のカギのひとつ。
■ポイント2:トレンド&現場を知ること
では、トレンド&現場力を身に付けるためには?
「ミーハー」になること! ミーハー力はビジネス力である
世の中を興味深く見て、テレビで見て得た情報を社員の雑談の中で交換するのも有効。
流行っているものや場所を実際に見て感じ、そしてなぜこれが流行っているのか自分なりに考えてみること。
「定量」よりも「定性」
100人に聞いて100人がおいしいといったものはヒットしないことが多い。
ターゲットの実際のリアルな生活のどの場面で役に立ち、使われるのかを考えること。
レシピの重要性と目のつけどころ
- ・レシピによる付加価値付けで、小売や料飲店では客単価のアップが見込める。
- ・レシピは簡潔かつ丁寧に作ることが大事で、例えば「昆布締めの昆布は取っていいのか
悪いのか」などメーカーとしては当たり前に思うことも、若い層では分からないことも
あるため記入しておく必要がある。
- ・また、消費者はお得だと分かっていても使い切れず残してしまうことに抵抗があるため、
「無駄なし」の使い切りレシピ提案は有効。
主婦向けレシピのポイント
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・当たり前だと思っていても、商品をどうやって
使うのかをしっかり説明
- ・視覚的に簡潔に書く
- ・「使い切り」「使い倒し」は大切
- ・メニュー自体の目新しさ、ある程度味の想像がつくこと
- ・メーカー(作り手)のとっておきであること
飲食店向けレシピのポイント
- 主婦向けのレシピのポイントに加えて
- ・名物メニューに刈る斬新さ
- ・メニュー単価が上がる仕組み
- ・販促物までの一気通貫
展示商談会のポイント
ポイント① 課題解決型のセールストークを心がける
「若年層の新規顧客を獲得できる」「貴店の鍋メニューが拡充できる」など、
商品を買うことで得られる“良い事”を明確にしておく。
ポイント② 提案する内容を分かりやすく可視化する
ポイント①の根拠をパネル化して分かりやすく可視化する。
またメニュー提案であれば試食の準備も忘れずに!
ポイント③ 実際の店舗で実施できるリアリティのある内容を具体的に魅せる
小売業の52週MD計画との連動等も意識して!
52週MD(=マーチャンダイジング):1年を52週に分け、過去の売上実績やニーズ、トレンド等に基づいた週ごとの店頭での品揃え計画
感想
現在の食のトレンドや商品提案、展示会の際のポイントなど幅広く教えていただきました。
この内容を活かしてこれからの展示会に臨んでいただければと思います。