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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第28回宮城県株式会社 阿部長商店

自宅が流されても避難先で続けた商品開発

観光業と水産加工業。イメージの結びつきにくい2つの業種ですが、それぞれの相乗効果を利用しながら発展、復興している会社があります。

宮城県気仙沼市に本社を置く阿部長商店は、宮城県の太平洋岸に3つの観光ホテルを展開する異色の水産加工会社。阿部泰浩社長によれば、「海の恵を活かすという意味においては、水産も観光も根は同じものであり、両事業の連携が三陸の地域資源を活かす道である」とのことで、水産事業部と観光事業部の「両輪経営」が同社の特色であるようです。

1961年(昭和36年)創業の阿部長商店は、1992年(平成4年)に食品加工部門「マーメイド食品」を立ち上げ、水産加工業を本格的にスタートさせました。食品部部長の吉田良一さんは、同社の転換期をこう振り返ります。

▲ 商品開発を手がけてきた阿部長商店の食品部部長、吉田良一さん

▲ 商品開発を手がけてきた阿部長商店の食品部部長、
吉田良一さん

「もともと当社は、市場で買い付けた鮮魚を氷漬け、あるいは冷凍して出荷する鮮魚仲介業をメインに行っていました。しかしそれだけの業態では経営が水揚げに左右されてしまうので、加工業にも展開するようになりました。今では切り身の一次加工だけでなく、煮る、焼く、蒸す、炙る、干すといった二次加工も一通りのことは行えます。オリジナル商品の開発にも力を入れていますよ」(吉田良一さん・以下「」内同)

自社製品の充実を図る中で、大きな賞を受賞する製品も生まれました。第42回農林水産祭(2003年)で天皇杯を受賞した「あぶりさんま」、第39回宮城県水産加工品品評会(2015年)で農林水産大臣賞を受賞した「さんまとトマトのアヒージョ」などは、今でも同社の主力商品として人気を誇っています。

  • ▲旬のサンマを特製の甘酢に漬けて表面をあぶった「あぶりさんま」

    ▲ 旬のサンマを特製の甘酢に漬けて表面をあぶった
    「あぶりさんま」

  • ▲三陸産の魚介類をスペイン産のオリーブオイルで調理した「アヒージョ」シリーズ

    ▲ 三陸産の魚介類をスペイン産のオリーブオイルで調理した
    「アヒージョ」シリーズ

一般的に、水産加工品は商品のライフサイクルが短いと言われますが、同社は売れ続けるロングセラー商品を毎年一つか二つ出せているといいます。たとえば『さんま甘露煮』。生協向けのこの商品は、10年ほど前より発売し、徐々にリピーターとなるお客さまが増えて今では震災前の5倍も売れているそうです。

  • ▲旬のサンマを特製の甘酢に漬けて表面をあぶった「あぶりさんま」
  • ▲三陸産の魚介類をスペイン産のオリーブオイルで調理した「アヒージョ」シリーズ

▲ 4時間煮込んでコクを出しているロングセラー商品「さんま甘露煮」

自社製品の開発においては、自社でホテルを持っていることが同社の大きな強みにもなっています。ホテル内のレストランやおみやげ屋に流通前の加工品を展開し、その反響を確かめながら加工品の大きさや味付けなどの最終的な細かい調整をすることもあるようです。

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