復興水産加工業 販路回復推進センター

 

販路回復・助成事業・アドバイザー 相談の申し込み

企業紹介企業紹介

企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第126回福島県株式会社貴千

「私たちには守るべきものがある。だから震災のせいにはしない」“覚悟”の転換とチャレンジ

幹線道路から細い路地を入り、住宅地の間を奥へ。まもなく行くと見えてくる株式会社貴千直売所ののぼり。

株式会社貴千直売所。揚げかまぼこ各種のほか、揚げたてのコロッケも提供。直売所での販売を本格化した約8年前から売り上げは2倍以上になっている。
▲ 株式会社貴千直売所。揚げかまぼこ各種のほか、揚げたてのコロッケも提供。直売所での販売を本格化した約8年前から売り上げは2倍以上になっている。

ご近所の方がひっきりなしに訪れる店内では、同社マネージャーの小松理沙さんが、お客様とにこやかに談笑しながら商品の説明をしていました。

陳列ケースには、地元、福島県いわき市・小名浜の郷土料理「さんまのぽーぽー焼」をアレンジした「さんまのぽーぽー焼風蒲鉾」、うに、かに等の具材を惜しげもなく載せた「珍味かまぼこ」など、おもにギフト・お土産用の商品のほか、今晩のおかずにもよさそうな、揚げかまぼこが豊富に並んでいます。

「かまぼこを普段のごはんのおかずに食べてほしいと願って、商品開発に取り組んできました」
と話すのは同社専務取締役・小松唯稔(ただとし)さん。

株式会社貴千専務取締役の小松唯稔さんと妻でマネージャーの小松理沙さん
▲ 株式会社貴千専務取締役の小松唯稔さんと妻でマネージャーの小松理沙さん

株式会社貴千は、1963(昭和38)年に福島県いわき市の現在の地で唯稔さんの祖父にあたる小松中司さんによって創業(昭和42年に当時丸千小松中司合名会社設立、平成7年に株式会社貴千を設立)。板かまぼこをメインに製造、販売してきました。二代目の小松懸二さんが継承後、いわき市の魚・メヒカリを使ったかまぼこや前述の珍味かまぼこなどギフト用商品も開発。2004(平成16)年には、新ブランド「三代目小松屋」を立ち上げました。

「それまでほぼ市場出荷を対象とし、貴千は安価な商品を大量につくるというイメージがあったのですが、その従来のイメージの払拭と差別化を行うため、あえて新ブランドとし、価格帯の高い商品を開発するという狙いがありました」

そう話す唯稔さんは、20代後半で家業に従事するまで、「かまぼこ屋だけは絶対にやりたくない」と思っていたそうです。

「子どものころから朝早くから晩までかまぼこづくりに追われる姿を見てきて、本当に大変そうで。それに、レールの敷かれた人生がいやで、とにかくここから抜け出したいと思っていました。大学では海洋建築工学を学び、中古車販売会社に就職後、プロパンガス販売会社などの仕事をしてきました」(唯稔さん)

そんなとき、唯稔さんに家業を継がせることを夢みていた創業者の祖父が病気で他界します。

「祖父が亡くなった時、自分の進む道を見つめ直したんです。その時、胸を張ってこの仕事でやっていくと言える自分ではなかった。覚悟を決めて家業を継ごう。そうその時決めました」

その後は、千葉県の日本料理屋に1年、名古屋のかまぼこ製造店に1カ月、鹿児島の揚げかまぼこ店に1年とそれぞれ修業に出ます。需要が減りつつある板かまぼこに代わって会社の柱となる揚げ製品を開発、販売を強化していくという今後の貴千の展望を頭に置いての修業期間でもありました。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
TOP