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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第156回宮城県株式会社丸荒

8年のブランクの間、精力的に取り組んだ
「町おこし」そこで得た仲間とともに、
町ぐるみで「ブランド化」を目指す

株式会社丸荒がある宮城県本吉郡南三陸町。町の東側に広がる志津川湾は複雑に入り組んだリアス式海岸で、湾内にはカキ、ホヤ、ワカメなどの養殖設備を多く備えます。この志津川湾は、国の天然記念物である水鳥コクガンの越冬地であり、「水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」を守ることを目的とするラムサール条約の登録地でもあります。海以外の三方も標高300~500mの山々に囲まれ、海だけでなく山の自然もとても豊かな土地柄です。

株式会社丸荒 代表取締役 及川吉則さん
▲ 株式会社丸荒 代表取締役 及川吉則さん

そんな南三陸町で、丸荒は昭和49年に創業されました。最初は漁業からスタート。地元の豊かな水産商品を販売し始め、二代目にして現社長である及川吉則さんが会社を継いでからは、生鮮だけでなく加工品にも力を入れ、全国各地に販売網を広げていきました。

「自分は営業の仕事が好きだったんです。全国の市場や展示会を巡ると自分と同年代の20~30代が多くて楽しかったんですよ。その方たちと友達感覚で付き合いながら販売先の皆様の様々なニーズに応えているうちに鮮魚以外にも加工品のアイテムが増えていって。売上も右肩上がりに伸びていくので、どんどん営業の仕事がおもしろくなっていきました」(株式会社 丸荒 代表取締役 及川吉則さん、以下「」内同)

丸荒の加工技術は非常に高く、PBやOEMの依頼も非常に多いのだそう。最近では、新商品の「骨までおいしいお魚シリーズ」が、地域産業支援活用事業で表彰されました。魚の骨を柔らかくする技術は缶詰などでもよく用いられる圧力をかける方法が一般的ですが、この方法だと皮のはがれや、身の崩れが生じてしまうことも。しかし丸荒の「骨までおいしい」シリーズは、“高温/高圧スチーム技術”により皮や身は崩さず、骨だけをやわらかくすることに成功したのです。

「最近の魚離れの理由を調べたら、一番は骨が邪魔ということなんですよね。でも完璧に抜くのは難しい。だったら骨まで食べられるようにしたらどうかと思ったんです。そうすれば子どもでも、高齢者でも食べられる。実際に高齢者の施設では、食べることが入所者さんの楽しみだから魚を出したいのに、咀嚼力や嚥下機能が弱っている方もいるので怖くて出せなかったらしいんです。ウチの商品は添加物も一切入っておらず、熱とスチームだけで加工しているので安全面でも喜ばれています」

「骨までおいしい」シリーズ。サバ、サンマ、イワシ、カレイなどの魚種を使って、みりん煮、醤油煮、味噌煮などの味付けでバリエーション豊かに展開されている
▲ 「骨までおいしい」シリーズ。サバ、サンマ、イワシ、カレイなどの魚種を使って、
みりん煮、醤油煮、味噌煮などの味付けでバリエーション豊かに展開されている

加工技術だけでなく、原料も地元の一番良い時期のものだけを使い、無添加にこだわるなど徹底的に高品質な商品を突き詰めるのが丸荒の特徴。プロトン凍結という食品細胞の破壊を防ぐ冷凍機で素材の鮮度を落とさずに原料を保管・加工できる点も強みです。

そのため、取引先も高品質を求める百貨店やセレクトショップが多いのだそう。自社製品だけでなく、コロナで通常営業が難しくなった飲食店と一緒にテイクアウト商品を開発したり、宮城県の調理師専門学校や東京の有名和食店とのコラボ商品を作ったり、その高い技術を求めて多くの人が丸荒を頼りにしています。しかし現在の復旧までには、実に長い時間がかかったのです。

震災の前の年から加工品製造を始め、最初のヒットとなったのが「たこわさび」これに使用されるタコの原料にもプロトン凍結の技術が使われている
▲ 震災の前の年から加工品製造を始め、最初のヒットとなったのが「たこわさび」
これに使用されるタコの原料にもプロトン凍結の技術が使われている
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