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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第162回宮城県株式会社センシン食品

原釜から閖上へ。
「地元が増えた」ことで、仲間もできることも増えてきた

北から流れる寒流の親潮と、南からやってくる暖流の黒潮。これらがちょうど交わる東北地方の太平洋側は漁獲量が多く、豊かな漁場として知られています。特に福島県沖を中心に、茨城県沖までを含む「常磐沖」で獲れる海産物とその加工品は“常磐もの”と呼ばれ、栄養分が多い潮目の海で獲れるため、質がよく美味しいと言われています。その“常磐もの”を扱う福島県相馬市の原釜港が、センシン食品の原点です。

「原釜港は沖合底引き網漁(長い袋状の網を海底にひき、魚介類を獲る漁法)が非常に盛んで、ヒラメ、カレイを筆頭に150種類以上の魚が水揚げされています。原釜は鮮魚を扱う仲卸の会社が多いのですが、その中で弊社は、前浜でとれる魚をワンフローズンで加工し販売する希少な会社として評価をいただいていました」(株式会社センシン食品 専務取締役 高橋大善さん、以下「」内同)

株式会社センシン食品 専務取締役 高橋大善さん
▲ 株式会社センシン食品 専務取締役 高橋大善さん

センシン食品の創業は、平成19年。大善さんのお父様であり現社長の高橋永真さんが、それまで勤務していた別の水産加工会社から独立してセンシン食品を立ち上げました。前浜である原釜港で獲れた原料を加工し、量販店の総菜部門や飲食チェーンに向けて加工品を製造販売し、急速に成長を遂げたのです。

「魚種が豊富なので、魚に合わせて様々な加工をしていました。パン粉をつけて揚げ物用の商品を開発したり、生食で寿司ネタを提案したり、創業当初から小回りが利くというのは社風だと思います。前浜で仕入れた原料を、鮮度を保ったまま凍結できるプロトン凍結機を使って1回だけの冷凍、ワンフローズンで仕上げる製品が多いので品質にも自信があります」

▲ 前浜で揚がった魚は手際よく捌かれ、プロトン凍結機へ。
産地でしか味わえないような旨味、風味をそのままに遠隔地の消費者へ届けることができる。

しかし現在、センシン食品の工場は相馬市ではなく、宮城県の名取市にあります。震災後、センシン食品はそれまでの販路をすべて失いました。しばらくは相馬市内で立て直しを図ってきたものの、原発事故の影響で原釜港での漁は開始すら難しい時期が長く続き、県外や海外の原料を用いて製品を作っても、所在地が福島県であることで風評被害に見舞われました。その中で、全くの新業態、新しい販路の開拓は困難と判断し、名取市閖上への移転を決めたのです。

「今は震災以前とは全く違うビジネスモデルになっていて、委託加工とEC事業が会社の柱です。ECサイトでは、今の前浜である三陸沖の閖上港で獲れた魚を扱っています。もともと定評のあったワンフローズン技術を使ったものが多いので、1回買った方がリピーターになってくれることが多いです」

▲ ECサイトで人気の「海鮮 漬け丼セット」。朝獲れた旬の地魚を使った5種のアソート。
流水解凍のみで“地元漁師の味”を手軽に楽しめる。
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